日本の家の平均寿命は27年! 人生で2回も家を購入する現実と変わる日本の住宅事情

日本の家の平均寿命は27年! 人生で2回も家を購入する現実と変わる日本の住宅事情

日本27年。アメリカ103年。イギリス141年。
この年数は住宅の平均寿命を表しています。

日本の住宅はイギリスの住宅に比べ5分の1年しか住めないのです。

先進5カ国の住宅寿命年数

イギリス141年、アメリカ103年、フランス86年、ドイツ49年、日本27年。
日本の住宅は寿命の短さでは群を抜いています。

家の寿命が27年ということは30歳で家を持ったとして住宅ローンの終わる定年前には、もう一度建て替えなければならいないということです。嘘のような本当の話です。
実際に退職金を使い大規模なリフォームを行うといったケースは少なくありません。
退職金をリフォームや立て直しに使わなければ住めないような家が今の日本には氾濫しているのです。

正解の住宅の平均耐用年数の比較

なぜ日本の住宅は30年住めないのか

地震大国でありながら、数々の歴史的建造物を残してきた伝統の建築技術を持っているはずの日本の住宅はなぜこんなにも短命になってしまったのでしょう?
日本の住宅耐用年数が低いのにはいくつかの理由があげられます。

 安く、早くの採算性のツケ
 土地神話
 新築至上主義
実は、日本の住宅耐用年数の低さは日本人の住宅に対する考え方も大きく影響しています。

早く、安く採算性のツケ

一つは住宅自体の耐用年数の低下です。
ハウスメーカーによる過剰ともいえる採算性の追求。安くて早い家の量産。そのニーズに応えるべく誕生した安価な新建材の氾濫。
日本の家屋が短命になった原因のひとつには「早く・安く」の家づくりが生んだ品質低下の悪循環があります。
仕方のない時代の流れともいえますが「早く・安く」で作った家が30年後には多額の費用をかけたリフォームが必要になることを考えると、本当に安い買い物なのかをよく考える必要があるかもしれません。

土地神話

狭い国土である日本では欧米のように広大な土地の取得が難しく、建物よりも土地に価値が置かれる傾向にあります。そのため狭くても立地の良い場所に土地を求め、資金のほとんどを土地の取得に充てざるを得ないなどといった状況も生まれました。

日本の狭小住宅事情
立地のよい場所では土地の売買が活発に行われたため、まだ利用できる建物も次々と取り壊されたために住宅耐用年数の下落にもさらに拍車をかける結果となりました。

新築至上主義

日本では何より新築が好まれます。そのため中古住宅の売買が欧米に比べ活発には行われてきませんでした。当然、中古住宅の価値は下がりつづけ、中古住宅を改修するよりも壊して新しく作った方が価値も高く、商売としても成り立ちやすかったという側面があります。一方、住宅の耐用年数の高い欧米では、新築後の自宅に自分で手を加えながら家の価値を高めるDIYが一般的で、新築時よりも高額で売買されるケースも多くあります。

このように日本の住宅の耐用年数の低さは家自体の耐久性の問題だけではなく、まだ十分に住める家でも取り壊してしまうという住宅に対する日本人の価値観も大きく影響しているのです。

 

日本にも広がるリノベーション文化

欧米の住宅寿命が長い理由の一つに「付加価値をつけて売る」という考え方があります。
日本では長く住むほどに家は痛み、その価値は低下して最終的にはほとんどタダみたいな価格になってしまいますが、欧米では住むほどに価値を上げて高値で転売できるのです。(もちろんすべてではありません)

リノベーション 「欧米では古い家ほど価値がある」と思われるかもしれませんがそうではありません。オーナー自身が手を加えて家をグレードアップさせ、住みながら家の価値を自分であげてゆくのです。

アメリカ映画でもオーナー自身が家のペンキを塗ったり、芝の手入れをする場面がよく出てきます。 欧米では「家の事は自分でやる」という習慣があります。それが日本でも近年盛んに行われているDIY (do it your self)です。 自分の頭と手を使って自分に合った快適な住まい空間を楽しみながら創造しようというポジティブな行動力。 こんな家への愛着が、耐久性に優れた住宅環境を支えているのかもしれません。

日本でも近年、リノベーションという言葉が頻繁に使われるようになりました。
古くなった家屋やマンションを安く購入し、リフォームして自分らしい快適な住まいを手にする手段として注目されています。

リノベーションしたマンション

リノベーション文化が日本にも定着することで、取り壊される住宅の数が減り、日本の住宅耐用年数も欧米並みに上がる日が来るかもしれません。リノベーション文化の広がりは、きっと日本の住宅事情をもっと面白いものにしてくれるはずだと、一人の大工として大きな期待を寄せています。