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【お蔵のリフォーム】 築100年
老朽化したお蔵の屋根を葺き替え
北杜市 / 篠原邸100年前に建てられたお蔵のリフォーム工事をご依頼いただきました。施主様はコマツ工房先代からお付き合いのある篠原様。篠原家はその昔、この地域を束ねた庄屋でもありました。今回リフォームを依頼されたのはその頃の面影を残す立派なお蔵。屋根が老朽化し、雨漏りの心配があるということでお蔵の瓦を葺き替えることになりました。築100年、昔の面影を残す日本の伝統建築「お蔵」の屋根葺き替え工事の様子をご紹介します。
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お蔵の瓦を撤去します
まずは足場を組み、古い瓦を撤去します。
100年ぶりのリフォーム。さて、屋根の上はどんな状況かといいますと、、、
100年のあいだ雨風にさらされた屋根は、蓄積した汚れやコケでとっても滑りやすい状態。一歩間違うと足を滑らせ転げ落ちてしまうかも、、、。しかも瓦が古く、体重のかけ方を間違うとすぐに割れてしまいます。ここは慎重に慎重に。
棟の部分から瓦を一枚一枚丁寧に剥がしていきます。
私、先代、アルバイトで雇った息子君と、コマツ工房3世代による瓦の撤去作業。高校生の息子が屁っぴり腰なのは致し方なし。
瓦を剥がしては、1枚1枚手渡しで下ろしていきます。
見えてきた100年前の建築技法
お蔵の瓦を半分下ろし終わる頃には瓦に隠れていた当時の建築技法が見えてきました。
今と違うのは、写真でもわかるように屋根の上に乗せられた大量の土。
土壁と言われるように、昔は土を使った建築が盛んでした。屋根の上にも土を乗せて雨風から家を守っていたんですね。
屋根に土を乗せ、土の上からヒノキの皮を敷き詰め、そこに瓦の土台となる瓦桟棒を打っていたようです。
屋根の状態をよく調べてみますと、雨漏りさえなければまだまだ屋根は使える状態。
素晴らしい!
竹小舞の竹、それを結ぶ縄がほぼ完璧な状態で残っています。100年の雨風に耐えながらしっかりとこのお蔵を守ってきたんですね。高温多湿な日本の環境に適した伝統技法には感服させられます。木の組み方からも当時の大工の丁寧な仕事ぶりが伺えます。
このリフォームでこれから100年さらにその姿をこの地に残すことでしょう。
そして「素晴らしい仕事だ」と100年後の大工さんに言ってもらえるような仕事を残しておきたいと強く思った次第です。
木工事スタート!腕の見せどころです
さて、瓦を剥がし終わり、ヒノキの皮、屋根の土、竹小舞を撤去しました。いよいよ大工の腕の見せどころ、木工事のスタートです。
まずは、お蔵の軒天廻りに落ちた土を外に掻き出します。
細かな土でも全体量を考えると相当な重量になります。耐震強度を上げるためにも綺麗に撤去しておきたいところ。また、残った土がシミとして出てくる場合もありますからね。しっかり土を取り除きます。
100年の間に腐食した垂木もいくつかあります。 腐食した垂木はすべて新しい垂木へと取り替えます。
腐食が一部分だけの垂木は腐食部分を取り除いたのち、添え木で補強して利用します。100年前の木材でも十分利用できます。当時の質の高い工事のおかげです。
垂木の高さ、直線を確認しきっちり揃えたら、次に化粧野地板を隙間がないように張っていきます。
すべての野地板を張り終わったら、ゴムアスルーフィングと呼ばれる防水シートで全体を覆います。昔は土、今は防水シート。
100年後には、新しい素材が開発され防水シートも過去の産物になっているかも知れませんね。「昔はこんなの使ってたんだね〜」と言われる日がくるのでしょうか?
瓦工事に入ります
いよいよ屋根に瓦を載せる準備です。まずは瓦を固定する桟棒を瓦のサイズに合わせて屋根に設置していきます。
そして、重い瓦を屋根に運ぶためにタワーを取り付けます。
次に設置した桟棒に瓦を葺(ふ)いていきます。
こんな感じで瓦を一枚一枚組み合わせながら桟棒にビスを打ち込み固定します。
パズルを組むような楽しげな作業。瓦を組みわせ着々と工事は進みます。
さぁ、平の部分への設置がほぼ終了しました。
瓦がきっちり詰めてあるように見えますが、触ってみると意外と余裕のある葺(ふ)き方をしています。あまりギュウギュウに詰めてしまうと歩いただけで瓦が割れるなどリスクが高まります。少し遊びがあるくらいでちょうど良いのです。
さて、あとは屋根の頂上である棟を残すばかりとなりました。
棟は瓦を積み上げた3段仕上げ。鬼瓦を置いて完成です。
棟と鬼瓦の隙間は瓦用のシーリングで収めます。隙間を残してしまうと雨が入り雨漏りの原因にもなります。
きっちり詰め物をして隙間を無くしました。
また、壁と瓦の接触部分も銅線できっちり固定します。
これで無事、瓦の葺き替えは完了しました。
シーリング工事で仕上げます
瓦の葺き替えも終了し、屋根と瓦部分の境目をシーリング処理して埋めていきます。シーリング処理とは隙間に詰め物をして隙間を密閉し、雨や汚れなどが入り込まないようにすることをいいます。
まずは接着をよくするためのプライマー処理。プライマーとは下地処理剤のこと。プライマー処理することでシーリング材の機能を最大限に高め、シーリングの持ちも良くなります。
プライマー処理後、シーリングを流し込み、ヘラを使い綺麗に平面を正していきます。四方全てのシーリング処理が完成!
綺麗に処理されたおかげで、壁と屋根の境が自然に馴染んでいます。
最後の仕上げ「看板」を作成
屋根の葺き替え、シーリング工事も無事終了。
現場では足場の解体が始まりました。
時を同じくしてコマツ工房の事務所では、とある作業が着々と進行していました。それが、看板の制作です。
施主様の山にあったケヤキから作った立派な板。そこに下書きした紙を置き、バランスを見ながら文字の位置を調整していきます。
位置が決まったら、文字に沿って丁寧に縁取りします。
最後に色つけ。ゆっくりと丁寧に、線からはみ出さぬよう色を塗っていきます。
先代も心配そうに見つめています(笑)
そして完成した看板がこちら。
篠原文庫と名付けられました。
ついでに隣の棟にも看板を設置。
最後にお蔵の中の廃材や落ちた土を綺麗に掃除して完成!
今回も貴重な経験をさせていただきました。
100年前の大工と時を超えて会話するような、とても有意義でやりがいのある仕事でした。
古くなったら壊してしまう、そんな風潮の中で、手を加えながら時を刻むこんな建物が少しでも多く次世代に残ってくれるよう大工としては願うばかりです。
100年後、このお蔵を手掛ける大工は、私の仕事をどう評価してくれるのか、少し気になるところです。
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